クライアント業種 : 化学品製造業
期間:スポット(1ヶ月以内)
経緯:
タイにおいては、取引先への接待のみならず、日々お世話になっている公務員(歳入局の方など)にお歳暮をお届けしたり、食事にお誘いするという慣習が存在します。特にバンコクよりも地方の方がそのような慣習を耳にする頻度が多いように思います。
今回のクライアントからは、その中で金額的な基準の有無についてお問い合わせをいただきました。
1.国家汚職防止委員会(NACC)告示
タイにおいては、NACCが「公務員の資産およびその他の利益の受領に関する倫理規程」を2000年に公示しました。(直近では2018年に汚職防止法の改正があり、同倫理規程も新しく2020年3月に公示されました。)
その中で
第4項:収入と見做されるその他の利益とは、価値のある物品、値引、接待、役務提供、研修、およびそれらに類似するもの
第6項:公務員が親族以外から受領する場合、一回あたり上限3,000バーツ
第7項:3,000バーツを超える場合は、上司への報告と許可が必要
などが規定されています。
なお、3,000バーツ未満であれば許容されるということではなく、不正な意図をもった贈答は贈収賄とみなされると認識し、適切な社内ルールが必要です。
2.罰則
公務員への贈賄については、贈賄を行った個人に対して刑事責任が科せられるだけではなく、適切な内部統制措置を備えていない法人も処罰の対象になります。
法人:従業員が供与又は供与の申出を行った試算その他の利益の額の1~2倍の罰金(汚職防止法第123/5条)
個人:5年以下の懲役または10万バーツ以下の罰金、または併科(刑法第144条)
参考リンク
・2020年3月13日国家汚職防止委員会(NACC)告示
http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2563/A/020/T_0017.PDF
・商務省企業開発局が作成した汚職防止法第128条のガイドライン
https://www.dbd.go.th/download/article/article_20200827104509.pdf